【イチローズモルト完全比較】リーフラベル全6種をテイスティング|香り・味・飲み比べ評価まとめ

ウイスキー

日本のクラフトウイスキー界を牽引する存在——それがイチローズモルトです。
ウイスキー愛好者や初心者の方々にとって、個性的なウイスキーを楽しむことは素晴らしい経験です。特に日本のウイスキーで名高い「イチローズモルト」の「リーフラベルシリーズ」は、そのユニークな味わいと深い歴史から、多くのファンに愛されています。
今回は、イチローズモルトの中でも特に人気の高い「リーフラベルシリーズ」6種類を飲み比べ、香り・味わい・余韻の違いを徹底的にレビューしました!

イチローズモルト「リーフラベル」シリーズとは?

イチローズモルトは、1985年に設立された「ベンチャーウイスキー」のブランドで、日本のウイスキー界を代表する存在です。その「リーフラベルシリーズ」は、ウイスキーの熟成に使用する樽にこだわり、バリエーション豊かなラインナップを展開しています。

それぞれのボトルには、イチローズモルトが持つ特有のフルーティーな香りや、樽からの影響が見事に表現されており、飲み比べることでその違いを楽しむことができます。

今回は、以下の6種類を比較しました:

  • イチローズモルト&グレーン(白色)
  • イチローズモルトMWR(ミズナラ・ウッド・リザーブ)(黄色)
  • イチローズモルトワインウッドリザーブ(赤色)
  • イチローズモルトダブルディスティラリーズ(緑色)
  • イチローズモルト&グレーン リミテッド(青色)
  • イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション(黒色)

イチローズモルトー秩父蒸留所について

秩父の地から世界へ—クラフトウイスキーの挑戦

東京都心から約100km、高い山々に囲まれた埼玉県秩父市の郊外に「ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所」があります。2007年に竣工し、翌08年に蒸溜を開始。盆地特有の寒暖差が原酒の熟成を促し、独自の風味を生み出しています。

創業者・肥土伊知郎(あくと いちろう)氏を中心に13人のスタッフが手がけるウイスキーは、仕込みから樽詰めまでほぼ全てが手作業。夏の暑い時期や年末年始を除き、作業は毎日行われております。

個性的な原酒もブレンドの妙で調和し、唯一無二のウイスキーとなります。バーボン、シェリー、ワイン、オーク、さらには独自のミズナラ樽など、異なる種類の樽で熟成させた原酒を日々テイスティングし、最高のバランスを追求しています。

フロアモルティングによる製麦から樽作りまで、自社での一貫生産を目指す。年間生産量約9万ℓという小規模な蒸溜所だからこそ、手間と時間を惜しまないこだわりです。

逆境を乗り越えたクラフトウイスキーの誕生

肥土氏は埼玉県羽生市の造り酒屋に生まれ、家業では日本酒の製造を手がけていたが、1980年代からはスコッチ式のウイスキー蒸溜も行っていました。しかし、1990年代後半には経営が悪化。肥土氏は一度別の会社に勤めるが、家業の立て直しのために退社。経営を引き継ぐも、2000年には営業権を譲渡し、ウイスキー事業は閉鎖が決定。熟成中の約400樽の原酒も廃棄の危機に瀕しました。

そこで肥土氏は奔走し、福島の「笹の川酒造」に原酒の保管を依頼し、羽生蒸溜所で造った原酒を世に出すため、「ベンチャーウイスキー」を設立しました。

「ダブルディスティラリーズ」—二つの蒸溜所が生んだ奇跡のブレンド

「ダブルディスティラリーズ」は、肥土氏の祖父が設立した羽生蒸溜所と、自ら創業した秩父蒸溜所の原酒をブレンドしたウイスキー。羽生蒸溜所は2000年に閉鎖されたが、20年以上熟成した原酒を貯蔵していました。

2009年、羽生の原酒に秩父の原酒をブレンドし「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ」としてリリースすると、英国『ウイスキー・マガジン』主催の品評会で「熟成年数なし部門ベストジャパニーズブレンデッドウイスキー」を受賞。世界に認められました。

大小さまざまな樽を使い、羽生モルトの重厚な甘みと秩父モルトの爽やかなフレーバーを融合しており、定番商品となりましたが、小ロット生産ゆえに常に品薄が続いています。

イチローズモルト「リーフラベルシリーズ」6種類飲み比べ

今回は以下の6種類をストレートでテイスティング。香り・味わい・余韻を中心に、それぞれの個性をご紹介します!

ラベル色名称特徴
モルト&グレーン ホワイトラベルフルーティーでバランスが良く、入門にも◎
ワインウッドリザーブベリー系の香りと渋み、ワイン樽の華やかさ
MWR(ミズナラウッドリザーブ)スパイシーで奥深いミズナラの香りと風味
ダブルディスティラリーズスモーキーで力強い味わい、羽生×秩父のブレンド
リミテッドエディション軽やかで上品、繊細な甘みとナッツ感
クラシカルエディション熟成感のある重厚な味わい、大人の一杯

イチローズモルト&グレーン(白色)

特徴:ウォッシュバックをミズナラ製にしていることも特徴であり、日本特有のオークであるミズナラの魅力を原酒に反映しています。
また、ボトル詰めの際に冷却ろ過や色素添加を行っておらず、ノンチルフィルタードかつノンカラーの銘柄となっています。

香り:開栓した瞬間にフルーティで華やかな香りが広がります。リンゴや洋梨のようなフレッシュな果実の香りとともに、軽やかなバニラやシナモンの甘いスパイスも感じられます。

味わい:全2ヵ所の蒸留所のグレーンウイスキーと全9ヵ所の蒸留所のモルト原酒をブレンドして作られたウイスキーであり、口に含むと滑らかな口当たり。一方でスパイシーでピート香を楽しむこともできます。甘いバニラや蜂蜜のようなリッチさに加えて、ピーチやアプリコットのフルーティーな味わいが広がります。優れたバランスでモルトとグレーンの調和が取れています。

フィニッシュ:後味はほのかなスパイスを感じ、あっさりとしております。軽やかなドライフルーツの余韻が心地よく残ります。長すぎず、すっきりとしたフィニッシュです。


イチローズモルトMWR(ミズナラ・ウッド・リザーブ)(黄色)

香り:日本のミズナラ樽の特徴的な香りが感じられます。少しスモーキーでスパイシーな木の香りに、甘いバニラとシナモンの香りが重なり、非常に複雑で深みのある香りです。

味わい:口に含むと、スパイス感が豊かで、ほのかにトーストしたナッツの風味が感じられます。ミズナラならではの独特な木の香りが味わいを引き立て、奥行きのあるモルトの甘みとともに、深い味わいを楽しめます。

フィニッシュ:スパイスとともに残る木の香りが長く続き、心地よい余韻が広がります。ドライでありながら、ほんのり甘さも感じられる後味が印象的。


イチローズモルトワインウッドリザーブ(赤色)

香り:ワイン樽熟成ならではのフルーティーな香りが特徴です。赤ワインのベリー系の香りとともに、オークのスパイシーさやほんのりとしたチョコレートの甘さが感じられます。

味わい:口に含むと、フルーティーでジューシーなベリーの味わいが広がります。ワイン樽の影響を受けたタンニンのような渋みがあり、ウイスキーの甘みと絶妙なバランスを見せます。味わいはリッチでありながらもすっきりしています。

フィニッシュ:フルーツ感と共に軽やかなワインのような余韻が続き、少し渋みが後味に残りますが、バランスよく心地よいフィニッシュです。


イチローズモルトダブルディスティラリーズ(緑色)

香り:スモーキーでピートの香りが最初に立ち上がり、徐々にナッツやトーストしたパンの香ばしさが感じられます。香りに奥行きがあり、煙っぽさがしっかりと感じられる一方で、フルーツのニュアンスもわずかに漂います。

味わい:2つの蒸留所で作られた原酒をブレンドしたこのウイスキーは、複雑でバランスの取れた味わいです。口当たりは非常に力強く、スモーキーな風味が全面に出ますが、その中に黒糖やシナモンの甘さがアクセントとして加わり、非常にリッチで深みのある味わいです。ピートと甘みがうまく調和しています。

フィニッシュ:強いスモークとピートの余韻が長く続きます。後味にほのかな甘さも感じられ、スモーキーさの中にうっすらと果実の余韻が残ります。


イチローズモルト&グレーン リミテッド(青色)

香り:フローラルで優しい香りが感じられます。軽やかなハーブや花の香りに、ナッツの香ばしさとほんのりとしたバニラの甘さが加わり、全体的にフレッシュで繊細な印象です。

味わい:口に含むと非常に滑らかで、繊細な甘さとともにナッツの風味が広がります。全体的にバランスが取れており、軽やかで飲みやすい。しっかりとした味わいがありながら、重くなく飲み心地がよいです。食前酒としても楽しめる一杯です。

フィニッシュ:後味はクリーンで、わずかなナッツとフルーツの余韻が心地よく続きます。軽快で優しいフィニッシュが特徴です。


イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディション(Classical Edition)(黒色)

香り:深く落ち着いた印象で、ドライフルーツ、レーズン、ダークチョコレートのような甘くビターな香りが広がります。ほんのりとスパイス(クローブやナツメグ)も感じられ、熟成感ある香りが印象的です。

味わい:クラシカルエディションは、日本を含む世界9ヵ国のモルト&グレーン原酒を使用し、バランスよくブレンドされています。口当たりはしっとりとした甘みとともに、黒糖やキャラメルのようなコク、そして奥行きのあるウッディな要素が感じられます。余計な角がなく、非常にまとまりのある味わいです。

フィニッシュ:口の中にほんのりスモークとスパイスが残り、ドライで落ち着いた余韻が長く続きます。大人の落ち着きを感じさせるフィニッシュです。

イチローズモルト クラシカルエディションは、白ラベルのライトでフルーティーなキャラクターとは対照的に、より深く複雑で熟成感のある味わいが魅力です。ラベルはシンプルな黒で、他のリーフラベルと並べても引き締まった印象を与えてくれます。


以上が飲み比べの感想です。個人的には赤ラベルが一番好みですがどれも美味しくいただきました。また飲み方はストレートでいただきました。

飲み比べにおすすめの順番

香りや味わいの「軽さ」から「重さ」へと移るよう、香りが軽く味わいが繊細な白ラベルから始め、赤・黄・緑・青と続けて、クラシカルエディション(黒)を最後に飲むと、味の広がりを順に楽しめます。

参考文献

今回の記事は創業者の肥土伊知郎氏監修の下記の本を参考にしております。気になる方はこちらもチェックしてみてください!

📍シングルモルト&ウイスキー完全バイブル 肥土伊知郎

結論

「リーフラベルシリーズ」のウイスキーは、どれも非常に個性が豊かで、飲み比べることでその違いをより深く感じることができます。各ウイスキーは、それぞれが持つ独特の香り、味わい、フィニッシュを楽しむことができるので、自分の好みに合わせて選ぶ楽しみがあります。

ぜひこのシリーズを試してみてください!一緒にウイスキーライフを楽しみましょう

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