【2025年版】世界最大のウイスキー消費国、インドのウイスキー!人気の理由とおすすめ商品

ウイスキー

~モラセス原料から本格モルトまで~

ウイスキーといえば、スコットランドやアイルランド、アメリカ、日本を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は「世界で最もウイスキーを消費している国」はインド。販売数量でも、2023年の世界ランキングで1〜4位をインディアンウイスキーが独占するなど、その存在感は年々増しています。


インドは世界トップクラスのウイスキー大国

イギリスの酒類専門誌『Drinks International』によると、2023年に世界で最も売れたウイスキー1位はインドの「マクダウェル No.1」
2位から4位にも「ロイヤルスタッグ」「オフィサーズチョイス」「インペリアルブルー」といったインディアンウイスキーがランクインしており、トップ10のうち6銘柄がインド産という驚異的な結果に。

インドの人口は約14億人と世界最多で、ウイスキーの消費量もアメリカの3~4倍といわれています。


インドで飲まれている「ウイスキー」の正体とは?

ここで注目したいのが、「インドで飲まれているウイスキーの正体」です。


モラセス原料とは?インディアンウイスキーの実情

インド国内で大量に消費されているウイスキーの多くは、穀物ではなく「モラセス(糖蜜)」というサトウキビの副産物を原料にしています。
モラセスに水と酵母を加えて発酵・蒸溜し、後から色や香りを添加することで「ウイスキー風」に仕上げる
のが一般的です。

この製法による酒類は、EUをはじめとする国際基準では「ウイスキー」とは見なされず、「スピリッツ(蒸留酒)」として分類されます。
ウイスキーとは本来、「穀物を原料にし、木樽で熟成させた蒸溜酒」と定義されているため、インド国内で「ウイスキー」として流通していても、国際的には別物と扱われるのです。


インド国内で愛される人気ウイスキーブランド10選(モラセス原料主体)

ここでは、インド国内で圧倒的なシェアを誇る定番ブランド10銘柄をご紹介します。いずれも「モラセス(糖蜜)」を原料にしており、価格の手ごろさと飲みやすさから、多くのインド人に長年愛されてきた商品です。


1. マクダウェル No.1(McDowell’s No.1)

インド最大のウイスキーブランド。バランスの取れた甘さと軽やかな味わいが特徴で、ストレートでもミキサーでも飲みやすい。

  • 香り:カラメル、バニラ、ほのかなスモーク
  • 味わい:ライトでやや甘め、クリーミーな口当たり
  • 余韻:短めだがスムース、アルコール感が少なく飲みやすい


2. ロイヤルスタッグ(Royal Stag)

モルティーな風味とスムースな飲み口が魅力。映画やスポーツのスポンサーでも知られ、若者層を中心に人気。

  • 香り:モルト、干し草、ドライフルーツ
  • 味わい:スムーズでまろやか、軽いスパイス感
  • 余韻:中程度、ほんのりウッディな印象が残る

3. オフィサーズチョイス(Officer’s Choice)

「最も売れたウイスキー」としてギネス記録にも登録されたことがある銘柄。やや甘口で口当たりがよく、価格もリーズナブル。

  • 香り:甘い穀物、軽いシナモン
  • 味わい:ソフトで甘く、まったりとした飲み口
  • 余韻:優しく短め、穏やかな甘さが残る

4. インペリアルブルー(Imperial Blue)

「Men Will Be Men」のCMシリーズでお馴染み。香りはフルーティで、ライトな味わい。水割りやソーダ割りに適している。

  • 香り:トロピカルフルーツ、洋梨、ほのかなオーク
  • 味わい:ライトボディ、ややドライで爽やか
  • 余韻:短くすっきり、後味も軽快

5. ブレンダーズプライド(Blender’s Pride)

比較的プレミアムな位置づけ。スムースな飲み口と高級感あるパッケージが人気で、都市部の中間層に強い支持を受けている。

  • 香り:蜂蜜、フローラル、バニラ
  • 味わい:ソフトで滑らか、ほのかな甘みと丸み
  • 余韻:中程度、柔らかな甘みが長く続く

6. 8PM

パンジャブ州発祥のウイスキーで、「夜8時に乾杯する」というコンセプトがユニーク。スパイシーな風味が特徴。

  • 香り:黒胡椒、ドライフルーツ、モラセス感
  • 味わい:スパイシーでしっかり、やや強めのアルコール感
  • 余韻:ピリッとした辛さが後を引く

7. ロイヤルチャレンジ(Royal Challenge)

やや重めでリッチなテイスト。ラムのような甘みを感じる香りが特徴で、肉料理などと相性が良い。

  • 香り:ラム、カラメル、シナモン
  • 味わい:ややフルボディで甘みがありリッチ
  • 余韻:中程度〜長め、甘さとスパイスが残る

8. スターリングリザーブ(Sterling Reserve)

インド国内での急成長ブランド。甘みとオーク香が絶妙で、洗練されたブレンディングが光る。

  • 香り:ハチミツ、オーク、バター感
  • 味わい:なめらかでソフト、バニラのような甘み
  • 余韻:長めで穏やか、バランスの良い後味

9. ロイヤルグリーン(Royal Green)

香り高く、クセの少ないバランス型。近年の人気上昇株で、コストパフォーマンスに優れる。

  • 香り:ハーブ、柑橘、グリーンアップル
  • 味わい:ライトでクリーン、ほのかにハーブ系の爽やかさ
  • 余韻:短めでクリスプ、ドライな後口

10. ディレクターズスペシャル(Director’s Special)

長年愛されてきた老舗ブランド。コクがあり、ウイスキーらしいしっかりとした風味が特徴。

  • 香り:ナッツ、焦がしキャラメル、ウッディな香り
  • 味わい:厚みがあり、モルティーでややビター
  • 余韻:中〜長め、ほのかにビターな余韻が続く

本格モルトウイスキーの波:アムルット蒸溜所の登場

一方、2000年代以降、国際的な品質基準に則った「本格的なモルトウイスキー」もインドで急速に発展し始めています。
その先駆けが、南インド・バンガロールにあるアムルット蒸溜所(Amrut Distilleries)です。

アムルットは2004年、インド初のシングルモルトウイスキーをリリース
スコッチと同様に大麦麦芽を原料とし、木樽でじっくり熟成されたその味わいは、イギリスやヨーロッパの品評会でも高評価を獲得。
世界中のウイスキーファンから注目される存在となりました。


インドならではの「熟成の早さ」

アムルットを語るうえで欠かせないのが、インドの気候による熟成スピードです。
インドは熱帯性気候のため、樽内の温度変化が大きく、熟成が非常に早く進むのが特徴。
スコットランドで10〜12年かけて得られる熟成感が、インドではわずか4年程度で再現できるといわれています。

これは「エンジェルズシェア(天使の分け前)」も多く、年間10〜12%という高い蒸発率を伴いますが、それを補って余りあるスピードと、豊かな風味の凝縮を生み出しています。


注目のインディアンウイスキー銘柄(モルトタイプ)

ここでは、世界的に評価が高まっているインド産シングルモルトウイスキーから、特に注目すべき4本をご紹介します。


1. Amrut Fusion(アムルット フュージョン)

インド産のノンピート麦芽とスコットランド産のピート麦芽を融合させた、アムルットの代表作。

  • 香り:トロピカルフルーツ、チョコレート、ほんのりスモーキー。マンゴーやバナナの甘く熟した果実香。
  • 味わい:クリーミーでリッチ。チョコレートやスパイス、ハチミツ、ほのかなピートスモークが重層的に広がる。
  • 余韻:温かくスパイシー。オークの苦みと甘みが心地よく長く続く。


2. Paul John Brilliance(ポールジョン ブリリアンス)

南インド・ゴアのポールジョン蒸溜所が手がけるノンピートタイプのシングルモルト。

  • 香り:バニラ、カスタード、蜂蜜、ドライフルーツ。南国らしい豊かで温かい香り。
  • 味わい:ソフトでスムース。ハチミツ、トーストした麦芽、ミルクチョコレートのような優しい甘さ。
  • 余韻:中程度。バニラとスパイスが穏やかに残る。


3. Amrut Peated Single Malt(アムルット ピーテッド)

本格的なピートタイプ。アイラモルトファンにもおすすめ。

  • 香り:ピートスモーク、オーク、黒糖、土っぽさとドライフルーツのコントラスト。
  • 味わい:パワフルでスモーキー。黒胡椒、バニラ、シェリーのニュアンスも感じられる。
  • 余韻:長くスモーキー。ピートとオークの苦味がじわじわと広がる。


4. Paul John Bold(ポールジョン ボールド)

ゴアの陽気な気候が生み出す、ピーティーでありながら南国感のある1本。

  • 香り:ピート、シナモン、クローブ、レーズン。インド特有のスパイシーな香りが印象的。
  • 味わい:厚みのあるボディ。燻製肉のようなコクと、トロピカルフルーツの甘さが絶妙に融合。
  • 余韻:ピートと甘さがゆっくりと溶け合う、スモーキーでスイートな締めくくり。


まとめ:モラセスからモルトへ、進化し続けるインディアンウイスキー

インディアンウイスキーはこれまで、モラセス原料による大量生産と安価さで国民的な酒として親しまれてきました。
しかし近年では、世界のウイスキーファンを唸らせる高品質なモルトウイスキーも次々と誕生しています。

ウイスキーは寒い国で造るもの」という先入観を覆す、インド発の熟成スピードと香味の力強さ
次なる注目のウイスキーは、きっとインドから生まれるかもしれません。

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