ネッビオーロ(Nebbiolo)は、イタリア・ピエモンテ州を代表する赤ワイン用ブドウ品種で、特にバローロ(Barolo)やバルバレスコ(Barbaresco)といった世界的に評価の高いワインの主要品種として知られています。その名前は「霧」を意味するイタリア語「nebbia」に由来し、秋に収穫される際にブドウ畑が霧で覆われることにちなんでいます。
今回はそんな品種について詳しく特集します!
ネッビオーロの起源と歴史
ネッビオーロの記録は、13世紀のイタリア・ピエモンテ地方にまで遡ります。最古の文献では1268年に「nibiol」と呼ばれた記録があり、長い間この地方の重要なワイン用ブドウとして栽培されてきました。ネッビオーロは非常に土壌や気候に敏感で、特にピエモンテの冷涼な気候と石灰質土壌が品質の高いワインを生む条件とされています。
その高貴な性質から「イタリアのピノ・ノワール」とも呼ばれますが、ピノ・ノワールとは異なり、タンニンと酸が非常に強く、長期熟成向きのワインが造られるのが特徴です。
ネッビオーロの主要な産地
イタリア
- ピエモンテ州(Piedmont)
- バローロ(Barolo)
- バルバレスコ(Barbaresco)
- ロエロ(Roero)
- ガッティナーラ(Gattinara)
- ネッビオーロ・ダルバ(Nebbiolo d’Alba)
- ロンバルディア州(Lombardy)
- ヴァルテッリーナ(Valtellina)
その他の国・地域
- カリフォルニア(アメリカ)
- オーストラリア
- アルゼンチン
いずれも小規模生産で、イタリア産に比べて柔らかく、果実味が強調される傾向があります。
ネッビオーロの味と香りの特徴
香り
- バラ、スミレ、チェリーなどのフローラルと赤系果実
- タール、革、トリュフといった熟成による複雑なニュアンス
- ドライハーブ、タバコ、アニス、土やミネラル感
味わい
- 明るいルビー色ながらもしっかりとしたタンニン
- 高い酸味と引き締まった骨格
- 熟成による旨味の増加と複雑な変化
- 長く続く余韻と力強いストラクチャー
一般的なスタイル
- Barolo(バローロ):力強くフルボディ、長期熟成向き
- Barbaresco(バルバレスコ):エレガントでやや早飲み可
- Nebbiolo d’Alba(ネッビオーロ・ダルバ):果実味が豊かで親しみやすい
おすすめのフードペアリング
- 赤身肉:ビーフステーキ、ローストビーフ、ラム肉
- トリュフ料理:トリュフのリゾット、トリュフのタリオリーニ
- 熟成チーズ:パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ、ゴルゴンゾーラ
- クラシックなイタリア料理:ミートソースのパスタ、野菜の煮込み、リゾット
おすすめのネッビオーロワイン
Gaja Barbaresco(ガヤ バルバレスコ)
- 産地:イタリア・ピエモンテ州バルバレスコ
- 特徴:イタリアワイン界の巨匠、アンジェロ・ガヤによる逸品
- 味:しなやかなタンニンと凝縮した果実味がバランス良く共存
- 香り:バラ、スミレ、チェリー、スパイス、土
Paolo Scavino Barolo(パオロ・スカヴィーノ バローロ)
- 産地:ピエモンテ州バローロ地区
- 特徴:伝統とモダンを融合したバローロの代表格
- 味:フルボディ、スムーズでシルキーな口当たり
- 香り:赤い果実、革、トリュフ、スパイス
Produttori del Barbaresco Barbaresco(プロデュットーリ・デル・バルバレスコ)
- 産地:ピエモンテ州バルバレスコ
- 特徴:協同組合が生む高品質でコストパフォーマンス抜群の一本
- 味:滑らかなタンニンと上品な果実味
- 香り:花の香りとスパイス、土のニュアンスが融合
Ar.Pe.Pe. Valtellina Superiore Sassella(アル・ペ・ペ ヴァルテッリーナ・スペリオーレ サッセッラ)
- 産地:イタリア・ロンバルディア州ヴァルテッリーナ
- 特徴:アルプスの険しい斜面で育ったネッビオーロ(現地名キアヴェンナスカ)
- 味:繊細な酸味と滑らかなタンニン、やや軽やか
- 香り:赤系果実、ハーブ、ミネラル、スミレ
まとめ
ネッビオーロは、その複雑で力強い味わいから「イタリアのキング・オブ・ワイン」と称されます。特にバローロやバルバレスコといった伝統的な産地では、熟成によって劇的に風味が変化し、豊かな香りと奥行きある味わいを持つワインへと成長します。
その力強いタンニンと酸味は、熟成と共に丸みを帯びていき、より洗練された味わいに変化します。伝統的なイタリア料理との相性は抜群で、熟成肉やトリュフ料理とのマリアージュも格別です。
ぜひ一度、ネッビオーロの奥深い世界に触れてみてください。ワインラバーであればきっとその魅力に虜になるはずです。
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