北海道発ジャパニーズウイスキー「厚岸」徹底ガイド種類・味わい・蒸溜所の魅力

ウイスキー

日本のクラフトウイスキー界で、近年とくに注目を集めているのが北海道・厚岸町にある【厚岸蒸溜所】です。スコットランドの伝統製法に倣い、冷涼湿潤な気候の中でゆっくりと熟成される厚岸ウイスキーは、国際的にも高く評価されています。

本記事では、厚岸ウイスキーのラインナップ、味わい、希少性、そして蒸溜所のこだわりについて詳しくご紹介します。


■ 厚岸ウイスキーとは?

厚岸蒸溜所は、2016年に北海道釧路管内・厚岸町で創業された蒸溜所です。スコットランド製のポットスチルを使用し、スコッチタイプの本格ウイスキー造りを目指しています。熟成にはバーボン樽、シェリー樽、ミズナラ樽、ワイン樽など、さまざまな樽が使用され、これらの特徴的な樽で育まれたウイスキーは、ピート香と豊かな熟成を持っています。

厚岸町の冷涼で湿度の高い気候は、アイラ島に似た環境であり、ウイスキーの熟成に理想的な条件を提供しています。特に、海霧が町を包み込む気候と、町内で採取される泥炭(ピート)は、厚岸ウイスキーに独自のスモーキーな香りをもたらし、深みのある味わいを作り出します。この地域特有の素材と気候が、「テロワール・ウイスキー」としての評価を支え、厚岸ウイスキーの個性を引き立てています。また、日本らしい風味を加えるために「ジャパニーズミズナラ樽」を積極的に使用しており、これがウイスキーに深みと余韻を与えています。


■ 厚岸ウイスキーのシリーズと種類(限定ボトル含む)

厚岸ウイスキーは現在、大きく3つのシリーズに分けられます

◆【二十四節気シリーズ】(限定リリース)

厚岸蒸溜所の代表的なシリーズとして、「二十四節気シリーズ」があります。​これは、日本の伝統的な暦に基づいて約3か月おき、年に数本リリースされるシリーズ。各ボトルに節気の名前がつけられ、2020年からリリース開始。将来的に全24種類を揃える予定。

それぞれの節気が持つ季節感を反映し、樽やブレンドが変化することで、味わいも一本一本まったく異なります。完成後は全24本が揃う希少なコレクターズシリーズとなる予定です。

現在までにリリースされた銘柄(一部抜粋):

  • 寒露(かんろ)
  • 雨水(うすい)
  • 芒種(ぼうしゅ)
  • 処暑(しょしょ)
  • 立冬(りっとう)
  • 大寒(だいかん)
  • 清明(せいめい)
  • 大暑(たいしょ)
  • 大雪(たいせつ)
  • 立春(りっしゅん)
  • 冬至(とうじ)
  • 穀雨(こくう) など

各ボトルごとに使用する樽や熟成年数が異なり、バリエーション豊かな味わいが楽しめます。

◆【厚岸 シングルモルトシリーズ】

100%厚岸産原酒を使用したシングルモルト。地域のテロワールを体現するシリーズで、スモーキーで力強い味わいが特徴。

  • 厚岸 シングルモルト第1弾「サロルンカムイ」
  • 厚岸 シングルモルト第2弾「大寒」
  • 厚岸 シングルモルト第3弾「芒種」 など

◆【厚岸 ブレンデッドウイスキーシリーズ】

厚岸の原酒に加え、国内外の原酒(例:秩父蒸溜所、スコットランド)をブレンド。厚みと複雑さを兼ね備えた味わいに仕上がっています。

  • 厚岸 ブレンデッドウイスキー「処暑」
  • 厚岸 ブレンデッドウイスキー「小雪」
  • 他、限定リリースあり

■ 味の評価(テイスティングノート)

以下に、個人的に飲んだことがある、二十四節気シリーズの一部ボトルのテイスティングノートをご紹介します。

【立春(りっしゅん)】

  • 香り:白桃や花梨、ハチミツのようなやさしい甘さ。かすかにシトラス。
  • 味わい:フルーティーで滑らか、春の訪れを感じさせる軽やかさ。
  • 余韻:ふんわりと穀物の香りとピートが残り、春の霞のよう。

【大寒(だいかん)】

  • 香り:スモーク、黒糖、ウッドスパイス。どっしりとした冬の重み。
  • 味わい:重厚でピーティー、スパイスと甘みがバランス良く広がる。
  • 余韻:長く続くスモークとビターオーク。冬の夜に寄り添う味わい。

【清明(せいめい)】

  • 香り:レモングラスやリンゴ、青竹のような清涼感。
  • 味わい:フレッシュな酸味、軽やかなピート、ミントのような後味。
  • 余韻:スッキリとした草原のような香りが残る。

【穀雨(こくう)】

  • 香り:青草、白桃、バニラ、海辺のような軽い潮の香り。
  • 味わい:フルーティーでジューシー。バランスの良い塩味と甘さ。
  • 余韻:すっきりとした清涼感と淡いスモークが持続。

【冬至(とうじ)】

  • 香り:シナモン、ドライフルーツ、ビターチョコ、優しいピート。
  • 味わい:コクのあるモルトと黒糖の甘さ、複雑で奥行きのある味。
  • 余韻:深く長いピートスモークと温もりのあるスパイス感。

厚岸蒸溜所は、地元の自然環境や素材を活かしたウイスキー造りを続けており、今後のリリースにも大きな期待が寄せられています。​


■ 厚岸ウイスキーの希少性と価値

厚岸ウイスキーは年に数回しか発売されず、1本あたり数千〜1万本程度の限定生産。さらに、国内外のウイスキーアワードで数々の受賞歴があるため、コレクターズアイテムとしての価値も高まっています。

2023年のWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)では、「寒露」がジャパニーズブレンデッド部門で金賞を受賞するなど、その実力は折り紙付きです。


■ 蒸溜所見学ツアー情報(※最新情報は公式サイトを参照)

厚岸蒸溜所では、現在、一般向けの蒸留所見学は不可。ただし、道の駅「厚岸味覚ターミナル コンキリエ」主催のツアーで見学が可能。料金は3000円。
内容には下記のようなものが含まれます

  • 原材料や製造設備(ポットスチル、発酵槽など)の見学
  • 熟成庫内部の案内
  • 試飲(ブレンデッドまたはシングルモルト)
  • ショップ

▶ 公式サイト:【厚岸蒸溜所】


■ まとめ:今後さらに注目の「厚岸」

厚岸ウイスキーは、世界的にも注目されている次世代のジャパニーズウイスキー。スモーキーさと華やかさのバランス、日本の季節感を反映したボトルデザイン、そしてストーリー性の高さが魅力です。

希少な限定ボトルは即完売になることも多いため、見つけたらぜひ試してみてください。

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