嘉之助蒸溜所とは?クラフトウイスキーの味の評価は?テイスティングノート公開

ウイスキー

嘉之助蒸溜所が贈る、鹿児島発のウイスキー

日本の最南端、鹿児島県薩摩半島の西海岸。吹上浜の海風と南国らしい日差しに包まれたこの土地に、いま世界のウイスキー愛好家たちの注目を集める蒸溜所があります。それが「嘉之助蒸溜所」
2017年からウイスキーづくりを始めた比較的新しい蒸溜所ながら、その背景には100年以上にわたる焼酎造りの伝統と情熱が息づいています。


焼酎の伝統が息づくウイスキー造りの新たな挑戦

嘉之助蒸溜所の母体は、1883年創業の老舗・小正醸造。二代目が手がけた「メローコヅル」は、梅樽で熟成された日本初の米焼酎として一世を風靡しました。その革新性を引き継ぐ形で誕生したのが、嘉之助蒸溜所のウイスキー造りです。

「世界共通の蒸留酒であるウイスキーを通して、鹿児島の焼酎文化にも興味を持ってほしい」
そんな想いからスタートしたプロジェクトは、今や日本を代表するクラフトディスティラリーの一つへと成長しています。


世界にも珍しい“三基体制”のポットスチル

嘉之助蒸溜所の特徴のひとつが、世界的に見てもユニークな3基のポットスチル。容量・形状・ラインアームの角度がすべて異なり、香味に繊細な違いをもたらします。そのうちの1基は、初留と再留の両方に対応できる特注仕様。

この三基体制により、香り高く複雑な原酒のバリエーションを生み出し、熟成の幅を大きく広げています。まさに職人の技と創造性が光るウイスキーづくりの真骨頂です。


自然とともに育まれる、豊かな熟成環境

広大な約9,000㎡の敷地は、日本三大砂丘の一つ「吹上浜」のすぐそば。夏は暑く冬は冷え込む鹿児島ならではの寒暖差、そして海風と湿気を含んだ空気が、熟成中の樽に独特の味わいをもたらします。

この南国の風土に育まれたウイスキーは、比較的早く熟成が進み、まろやかでふくよかな風味が際立つのが特徴。自然との共生が、そのまま香味に反映されているのです。


テイスティングで味わう「嘉之助」の魅力

今回は3種飲み比べをしましたのでテイスティングノートを作成しました。是非ご参考ください!

シングルモルト嘉之助

特徴
ノンチルフィルター・ノンピートの麦芽を使用し、ウイスキー本来の豊かな個性をそのまま楽しめるシングルモルト。鹿児島の温暖な気候と吹上浜からの海風が育む熟成環境で生まれる、ふくよかで繊細な味わいが魅力です。

香り
かりん飴やバニラの甘みが広がり、レモンティーや熟した柑橘のようなフレッシュなアロマが続きます。さらに、ジンジャーやシナモンのスパイシーさがほのかに感じられ、ローストナッツの香ばしさがアクセントを加えます。

味わい
最初に感じるのはまろやかな甘み。バナナやドライフルーツのようなフルーティーなニュアンスが広がり、次第にジンジャーやシナモンのスパイスがじんわりと現れます。全体にバランスが取れており、豊かなボディと心地よいコクが印象的です。

余韻
長く穏やかな余韻が続き、かりん飴の甘さと柑橘の爽やかさが心地よく残ります。バニラとナッツの余韻も重なり、奥深さを感じさせます。


嘉之助 HIOKI POT STILL

特徴
焼酎蔵「日置蒸溜蔵」で蒸留された原酒を、嘉之助蒸溜所で丁寧に熟成。アメリカンホワイトオークやバーボン樽の個性が溶け込み、日本の伝統が息づく風味と現代的な感性が見事に融合した一本です。

香り
トーストされたオークやキャラメル、焼き栗の香ばしさが際立ち、甘いバニラやシナモンのニュアンスが加わります。軽やかなハーブの爽やかさと、日置の豊かな自然を感じさせる繊細な香りも重なり、複雑ながらも心地よい香り立ちです。

味わい
口に含むと、まろやかなバニラの甘さが広がり、その後にキャラメルやビターチョコレートのほろ苦さが続きます。オーク由来のウッディな風味とスパイスがバランスよく絡み合い、深みと複雑さが際立つ味わいです。

余韻
長めの余韻があり、焼き栗やカカオのほろ苦さが心地よく残ります。バーボン樽からのトーストした木の香りとともに、ふくよかな甘みがゆっくりとフェードアウトします。


嘉之助 DOUBLE DISTILLERY

特徴
嘉之助蒸溜所と日置蒸溜蔵、二つの異なる個性が融合した渾身のブレンデッドウイスキー。67年にわたり培われた家族の伝統と職人の技術が結集された、まさに歴史の集大成ともいえる一本です。

香り
熟したフルーツ、特にプラムやドライアプリコットのリッチな甘みが前面に出つつ、ウッディな香りが重なります。さらに、かすかなスモーキーさとシトラスの爽やかさがアクセントとして加わり、奥行きのある香りが特徴です。

味わい
しっかりとしたボディがあり、バニラやキャラメルの滑らかな甘さが口いっぱいに広がります。その後にナツメグやクローブのスパイスが現れ、熟成感のあるフルーティーな風味がバランスよく続きます。全体に豊かなコクがあり、力強さと繊細さが絶妙に融合しています。

余韻
長く複雑な余韻が続き、ドライフルーツの甘みとウッディな苦みがゆっくりと消えていきます。かすかなスモーキーさが心地よく残り、最後にわずかなシトラスの爽やかさが加わります。



まとめ:嘉之助ウイスキーの未来に注目を

嘉之助蒸溜所は、日本の伝統と南国の自然、そして現代的な感性が見事に融合した、唯一無二の蒸溜所です。ブランドに込められた想いと職人技は、これからのジャパニーズウイスキーシーンに大きな影響を与えることでしょう。

鹿児島の地でゆっくりと育まれるこの味わい、ぜひ一度グラスで確かめてみてください。

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