「日本酒の旬っていつ?」
そう聞かれると「冬じゃないの?」と思う方が多いかもしれません。実は、日本酒には“四季折々の顔”があり、季節によってまったく違う表情を見せてくれるのです。
この記事では、月ごとの旬の日本酒とその特徴、そしてなぜ一年中おいしいのか?という理由をわかりやすく解説します。
12月〜3月:しぼりたて(新酒)の季節
冬の始まりから春にかけては、まさに日本酒造りのピークシーズン。
「しぼりたて」と呼ばれる新酒が出回る季節です。
特徴:
- 火入れ(加熱処理)をしていないフレッシュな味わい
- ガス感のあるシュワっとした口当たり
- 若々しく、フルーティーな香りと力強い酸味
楽しみ方:
・冷やして飲むのがおすすめ
・さっぱり系の鍋料理や刺身と相性抜群
1月〜3月:鑑評会向けの高品質酒が仕上がる時期
この時期は全国新酒鑑評会に向けて、酒蔵が全力で磨き上げた高級酒の仕込み時期でもあります。
特徴:
- 山田錦などの高級酒米を使用
- 精米歩合を極限まで下げた、香り高く透明感のある酒質
- 蔵元の技術が凝縮された芸術品レベルの一本も
楽しみ方:
・ワイングラスでじっくり香りを楽しみながら
・特別な日の乾杯酒にぴったり
3月:春酒(はるざけ)
春の訪れを感じる「春酒」は、ラベルもピンクや花柄で華やか。
“春らしいやさしい味わい”が特徴です。
特徴:
- 軽やかな甘みと穏やかな酸味
- フレッシュながら丸みのある味わい
- 花見や春の食材との相性が◎
楽しみ方:
・春野菜の天ぷらや桜えび料理と合わせて
・花見シーズンの乾杯にもぴったり
6月〜7月:呑み切り(のみきり)
「呑み切り」とは、春先に仕込まれた酒を貯蔵タンクから抜き、品質を確認するイベント。
このときに開封されたお酒が、夏前の熟成酒として味見されることがあります。
特徴:
- 熟成が進み、角が取れてまろやか
- 蔵ごとの酒質の違いがよく分かる
- 一般販売されることは少ないが、イベントや限定出荷あり
6月〜8月:夏酒(なつざけ)
暑い季節に向けて登場するのが「夏酒」。
冷やしてスッキリと飲める日本酒が中心です。
特徴:
- 軽快な飲み口とシャープな酸味
- アルコール度数をやや低めに設計していることが多い
- 辛口系や微発泡タイプも人気
楽しみ方:
・よく冷やしてキリッと
・冷奴、塩焼き枝豆、冷製料理と一緒にどうぞ
7月:新しい酒造年度のスタート
実は、酒造年度(BY=Brewery Year)は毎年7月1日から始まります。
ここから新たな酒造計画が動き出し、次の冬に向けて準備が始まるタイミング。
ここが面白い!
- 日本酒業界では「1年の始まり」は7月
- 新たな試みや新ブランドが発表されることも多い
- 一部蔵ではイベントや先行試飲が楽しめる
9月:ひやおろし・秋上がりの登場
秋は「日本酒の熟成の季節」。
“ひやおろし”や“秋上がり”といった、春に搾った酒が夏を越え、味に丸みを帯びて登場します。
特徴:
- 一度火入れのみの“生詰”が多く、まろやかでふくよか
- 香りは落ち着き、コクと旨みが深まる
- 脂の乗った秋刀魚や茸料理にぴったり
楽しみ方:
・常温またはぬる燗がおすすめ
・秋の味覚と一緒にゆっくり味わいたい一本
なぜ日本酒は1年中おいしいの?
日本酒が1年中楽しめる理由は、季節ごとに出荷される“旬”の味わいがあるからです。
季節 | 楽しめる酒 | 特徴 |
---|---|---|
冬 | しぼりたて・新酒 | フレッシュで躍動感のある味わい |
春 | 春酒・大吟醸 | やさしく華やか |
夏 | 夏酒 | 軽快で爽やか |
秋 | ひやおろし | 熟成されたまろやかさ |
さらに、冷や・常温・ぬる燗・熱燗と温度帯の違いでも変化を楽しめるのが日本酒の奥深さ。
つまり、季節と温度で無限に広がる味わいがあるから、1年中おいしい!
それが、日本酒の魅力なんです。
まとめ:日本酒は「四季を味わうお酒」
- 日本酒は季節ごとに表情を変える“旬のお酒”
- 「しぼりたて」や「夏酒」「ひやおろし」など季節限定が豊富
- 温度や器を変えることで通年でおいしく楽しめる
四季のある日本ならではの贅沢、それが“日本酒の旬”です。
ぜひ、月ごとに変わる旬の味を感じながら、日本酒を楽しんでみてくださいね✨
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