酒蔵「黄桜」が挑むウイスキー 丹波蒸溜所の魅力とは?杉樽ウイスキーとは?

ウイスキー

京都・伏見の老舗酒蔵「黄桜」。その名を聞けば、多くの人が日本酒やビールを思い浮かべることでしょう。そんな伝統ある酒蔵が、いま静かな丹波篠山の山あいで、新たな挑戦を始めています。その名も「丹波蒸溜所」。

清酒・ビール造りの技術を活かしつつ、日本独自のアプローチを取り入れたウイスキー造り

今回は、黄桜がなぜウイスキーに挑むのか、そしてその造りのこだわりや代表的な商品、見学情報までをたっぷりとご紹介します。


黄桜と丹波の深いつながり——“清酒の地”から“ウイスキーの郷”へ

黄桜は1925年、京都・伏見で創業した老舗酒造メーカーです。そんな黄桜が1974年に建設したのが、兵庫県丹波篠山市にある「丹波工場」。当初は清酒の生産能力を拡大する目的でしたが、2004年からは本格焼酎の製造を開始。そして2018年、その焼酎用の蒸留器を活かして、ウイスキーの試験製造に乗り出しました。

この流れが加速したのが2021年。スコットランド・フォーサイス社製の本格的な銅製ポットスチル2基を導入し、「丹波蒸溜所」は名実ともにウイスキー専門の蒸溜所へと進化したのです。


丹波蒸溜所のこだわり 設備・製法・分業体制すべてに注ぐ情熱

スコットランド直輸入のポットスチル

丹波蒸溜所には、フォーサイス社製の銅製ポットスチルを2基導入。初留器はストレート型で容量2,500L、再留器はバルジ型で2,000L。蒸留は初留6時間、再留8時間という丁寧な手法を取り入れ、繊細で香り高いニューポットを生み出します。

京都・伏見との“二拠点体制”

原料の糖化は、伏見のクラフトビール工場で行い、麦汁を丹波へ輸送。発酵・蒸留・熟成は丹波で、瓶詰めは再び伏見で行うというユニークな分業体制を採用しています。これにより、品質管理の徹底と安定供給の両立を実現しています。


多彩な酵母と長期発酵が生む、唯一無二の個性

発酵には6,500Lのホーロー製タンク4基を使用し、仕込みは約5,000L。発酵時間は90〜164時間と長めで、使用する酵母もウイスキー用・ビール用・自社培養と多岐にわたります。この多様性が、香りと味わいに奥行きと複雑さを与えています。


熟成と生産体制——ニューポットはゆっくりと眠りにつく

蒸留したニューポットはアルコール度数64.5%で樽詰めされ、伝統的なダンネージ式貯蔵庫でゆっくりと熟成されます。年間仕込み回数は約80回、生産目標は約80,000リットル(平均64.5%)という体制で、着実に原酒が育まれています。


【注目商品】「黄桜 ウイスキー 杉樽貯蔵」——和の香りとともに

なかでも特筆すべきは、日本ならではの杉樽で熟成したウイスキー「黄桜 ウイスキー 杉樽貯蔵」

特徴

  • アルコール度数:43%
  • 香り:杉の清涼感あるウッディな香り。森林浴のような爽やかさ
  • 味わい:軽やかでドライ。杉の香りと麦芽の優しい甘みが調和
  • 余韻:すっと消える、キレのある後味

杉は木質が柔らかく、熟成がゆっくりと進むことで、ウイスキーに独特の“和のニュアンス”を与えます。他の樽では味わえない、杉特有の清々しさとまろやかさが融合した逸品です。

ペアリング例

白身魚の塩焼き、山菜の天ぷらなど、繊細な和食との相性は抜群。和の食卓に寄り添うウイスキーとしておすすめです。


ハイボール缶でも試すことができますので是非✨



蒸溜所見学情報

丹波蒸溜所では、完全予約制で見学ツアーを開催しています。ポットスチルや貯蔵庫の見学はもちろん、ウイスキー造りのプロセスを学び、試飲も体験できます。

見学概要

  • 開催日:不定期(事前予約制)
  • 所要時間:約60分
  • 内容:製造工程の解説、設備見学、希望者は試飲可
  • アクセス:JR「篠山口駅」から車で約30分(送迎なし)
  • 予約方法:黄桜公式サイトまたは電話にて

※見学は20歳以上限定。動きやすい服装・靴での来場が推奨されています。


おわりに 日本酒の名門が生む、新しいウイスキーのかたち

黄桜が受け継いできた伝統と技術、そしてウイスキーに向けた新たな情熱が交差する「丹波蒸溜所」。そこには、日本ならではのクラフトウイスキーを追求する確かな哲学と情熱があります。

「杉樽貯蔵」をはじめとする独創的なウイスキーの数々に触れれば、日本のウイスキーの未来がますます楽しみになるはずです。ぜひ一度、黄桜の“ウイスキーの世界”に足を踏み入れてみてください。

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