富士御殿場蒸溜所とは?キリンの富士ウイスキーの味わいは?飲み比べ評価

ウイスキー

日本を代表するウイスキー蒸溜所のひとつ、キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所
ここは、世界的にも珍しい「モルト」と「グレーン」を一貫して生産できるハイブリッド型蒸溜所として知られています。

富士山の麓、標高620mという冷涼な気候と美しい自然に恵まれたこの地で、1973年から半世紀以上、クラフトマンシップ溢れるウイスキー造りが続いています。


■ 国際技術が融合した“富士スタイル”の誕生

蒸溜所のルーツは1972年、キリンビールが英国シーバス・ブラザーズ社米国シーグラム社と手を組み、設立した合弁会社にあります。

このパートナーシップにより、スコッチの伝統的なモルト技術と、アメリカの最新グレーン製造技術が融合。まさに“和洋折衷”のウイスキー製造が可能になりました。

御殿場が選ばれた理由は、平均気温13℃という冷涼な気候、霧と湿潤な空気、そして富士山の伏流水という最高の仕込み水が揃っていたから。さらに、首都圏から車で約1.5時間というアクセスの良さも大きな魅力です。


■ 最先端設備と職人の技が支えるウイスキー造り

◉ 最新設備の導入(2021年)

2021年には発酵槽や蒸留器、貯蔵庫などが大幅に刷新。
とくに注目は、木桶発酵槽(ダグラスファー製)と小型ポットスチルの導入で、より多彩な香味の原酒を生み出す環境が整いました。

◉ 原料と製造工程のこだわり

  • 仕込水:富士山の伏流水(軟水/硬度55mg/L)を地下100mから汲み上げ
  • 麦芽:主にスコットランド産ノンピート麦芽を使用
  • 糖化:スイス・ビューラー社製のローラーミルと三宅製作所の糖化槽を採用

◉ 発酵・蒸留設備

  • 発酵槽:ステンレス製6基(60,000L)+木桶4基(8,000L)
  • 酵母:自社開発のオリジナル酵母を使用
  • ポットスチル:大型(25,000L+17,000L)と小型(4,000L)の2系統
  • グレーン蒸留:シーグラム技術に基づく4種の蒸留器(ビアカラム・マルチカラム・ケトル・ダブラー)を活用し、ライト〜ヘビーまで3タイプの原酒を製造

■ 自社原酒100%の“富士”シリーズ誕生

2020年、富士御殿場蒸溜所は大きな進化を遂げました。
ついに、自社製原酒100%のプレミアムブランド「富士」シリーズが誕生!

代表銘柄レビュー:富士御殿場の原酒を味わう

富士御殿場蒸溜所の真価が発揮されるのが、近年リリースされた「富士」シリーズです。すべてが蒸溜所内で造られた原酒のみを使用し、モルト、グレーン、そしてブレンデッドと、スタイルの異なる3つのボトルが登場。それぞれの個性が光る逸品です。


キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士

特徴
3タイプのグレーン原酒(ライト・ミディアム・ヘビー)を巧みにブレンドした一本で、バーボンスタイルの甘く華やかなニュアンスと、和の繊細さが共存します。世界的な品評会でも高評価を受けています。

香り
バニラやキャラメル、メープルシロップのような濃密な甘さに加え、青リンゴや洋梨といったフルーティさ、さらにはココナッツやハチミツがふんわりと広がります。

味わい
口当たりは非常に柔らかく、トウモロコシ由来の穏やかな甘みとともに、スパイス感がゆっくりと広がります。オーク樽由来の心地よい渋みが全体を引き締めます。

余韻
短すぎず長すぎないミディアムな余韻。ナッツやスパイス、ほのかな樽香が後を引き、穏やかな印象のままフィニッシュします。



キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士

特徴
富士御殿場蒸溜所の“シングルブレンデッド”という新たなスタイルを象徴する商品。モルトとグレーン、両方の原酒を一つの蒸溜所で造る希少な技術力が光ります。調和と奥行きに優れた逸品。

香り
熟したリンゴや黄桃の果実香の中に、トーストしたナッツ、バニラビーンズ、蜂蜜の甘さが層を成します。時間とともにシナモンやクローブといった甘いスパイスも顔を出します。

味わい
口に含むと、まずモルト由来の芳醇なコク、次にグレーン由来のクリーミーな甘みが訪れ、絶妙なバランスを保ったまま広がります。滑らかでまとまりがよく、飲み疲れしない構成。

余韻
樽由来のバニラとチョコレート、仄かなスモークが残り、上品な甘みとともに静かに消えていきます。



キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士

特徴
満を持して登場したシングルモルト。富士の伏流水で仕込まれ、木桶発酵槽と小型ポットスチルによる製法が個性を生み出しています。果実味とモルト感のバランスが絶妙な一本。

香り
白桃、プラム、オレンジピールといったジューシーな果実香に、モルトの香ばしさ、さらには軽やかなハーブや白胡椒のニュアンスも加わり、立体的な香り立ち。

味わい
果実の甘酸っぱさが滑らかに口内を包み、やがてモルトの旨みとわずかにトースト香が加わります。アルコール感は穏やかで、飲み口の優しさが特徴的です。

余韻
繊細ながらも長く続く余韻には、ドライフルーツや微かなウッディさが感じられ、余韻の最後まで丁寧な造りが伝わります。


3種類飲み比べセットもあります!



■ 蒸溜所見学で“富士ウイスキー”を体感!

富士御殿場蒸溜所では、一般向けの有料見学ツアーを開催中。
ツアーは映像視聴→蒸留・発酵槽見学→ボトリングライン→試飲の流れです。

さらに、ビジターセンターの屋上からは富士山や御殿場の絶景が一望でき、森の遊歩道「キリンの森」で自然散策も楽しめます。

公式サイト☞キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所|キリンの工場見学|体験・おでかけ|キリン


■ アクセス情報

  • JR御殿場駅より無料シャトルバス運行(1日5便)
  • 車でもアクセス良好(東京から約1.5時間)

■ まとめ:日本のウイスキーの未来を拓く“富士御殿場”

富士御殿場蒸溜所は、モルトとグレーンを同じ場所で造ることができる、世界でも稀有な存在。
その高い技術とクラフト精神により生まれた“シングルブレンデッド”という新たなジャンルは、日本ウイスキーの未来を切り拓く存在です。

富士山の恵みと職人の技が織りなす、深くまろやかなウイスキーの世界。
その魅力をぜひ現地で、五感で体験してみてはいかがでしょうか?

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