ウイスキー好きなら一度は耳にしたことがある「竹鶴」「余市」「宮城峡」。
これらはすべてニッカウヰスキーの代表的な銘柄ですが、それぞれ異なる個性を持っています。
本記事では、竹鶴・余市・宮城峡の違いを「歴史・蒸留所について」と「味わい」などの視点から詳しく解説します。
竹鶴・余市・宮城峡の関係性とは?
まず、これら3つのウイスキーの関係を簡単に説明すると、
- 竹鶴 → 余市と宮城峡のモルト原酒をブレンドした「ピュアモルトウイスキー」
- 余市 → ニッカ創業者・竹鶴政孝が「スコットランドに最も近い環境」として選んだ蒸留所で造られるウイスキー
- 宮城峡 → 余市とは対照的に、フルーティーで優しい味わいを持つウイスキー
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
歴史と蒸留所について
竹鶴政孝ージャパニーズウイスキーの父
「竹鶴」という名前は、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝に由来します。竹鶴は、24歳のときに単身スコットランドへ渡り、日本で初めて本格的なウイスキー造りを学んび伝えた人物であり、「ジャパニーズウイスキーの父」とも呼ばれています。
ニッカウヰスキーは、竹鶴が1934年に北海道・余市で創業。その後、1970年代には2つ目の蒸留所である宮城峡蒸溜所が誕生しました。
竹鶴ウイスキーの歴史— ニッカの名を背負うピュアモルト
竹鶴ウイスキーは、余市と宮城峡のモルトウイスキーのみをブレンドして造られる「ピュアモルトウイスキー」です(※ブレンデッドウイスキーのようにグレーンウイスキーは使用されません)。
「2カ所以上の異なる土地でできるウイスキーをブレンドすることが理想」と語った竹鶴政孝。極寒の海風に鍛えられた、スモーキーで力強いモルトである「余市モルト」、豊かな緑のなかで森の香気を呼吸して育ち、華やかで軽やかなモルトである「宮城峡モルト」を用い、卓越したブレンド技術で造り上げたのが「竹鶴ピュアモルト」です。(※「ピュアモルト」とは、モルト原酒のみという意味です)
ブランドが誕生したのは、竹鶴氏の没後21年目の2000年。彼のウイスキーに対する情熱が受け継がれています。
余市蒸溜所の歴史— 力強くスモーキーな味わい
ニッカウヰスキーの原点である余市蒸溜所は、1934年に北海道・余市町に建設されました。竹鶴政孝は、スコットランドに近い冷涼な気候、清らかな水、潮風を含んだ空気があるこの地を選びました。
また、スコットランドの伝統的な「石炭直火蒸留」を現在も守り続けている世界でも珍しい蒸留所の一つです。
宮城峡蒸溜所の歴史— 華やかでフルーティーな味わい
1969年、竹鶴政孝は2つ目の蒸留所として宮城峡蒸溜所(宮城県仙台市)を開設しました。
余市とは異なるタイプのウイスキーを造るため、「柔らかく、華やかな香りを持つウイスキー」を目指して設立されました。
宮城峡蒸溜所では、スコットランドのローランド地方に近い製法を採用し、余市とは対照的な「上品でフルーティーな味わい」を実現しています。
味わいの比較
次に3つのウイスキーの味の違いについて比較してみます!
竹鶴の味わい
香り:やわらかなモルトの香りと、甘くバニラのような樽熟成香。フルーツの爽やかで甘酸っぱい香り。加水でより上品な香り。塩を感じさせる微かな燻香。
味わい:まろやかでシルクのような口あたり。バナナ、オレンジのフルーティさ、ライムの軽快な味わい。微かにスモーキーさもある。
フィニッシュ:やわらかな酸味を伴った、ややビターな余韻とキレのよさ。
「竹鶴ピュアモルト」のラインナップは熟成年数の異なる4種類。同じブランドでありながら、それぞれの個性が明確に違い、滑らかな口当たりで複雑・かれいな「ノンエイジ」、円熟の味わいで重厚感がある「17年」、濃厚な香りとコクの「21年」。深く美しく秀麗な味わいの「25年」と言われています。ただ、原酒不足により現在は「竹鶴ピュアモルト」の1種類のみが販売されています。
余市の味わい
香り:やわらかな樽熟成香と麦芽の甘さ、豊かな果実香の調和。穏やかで心地よいピート感。奥には微かなスモーク香。
味わい:オークの甘さとしっかりしたピートの味わい。麦芽の香ばしさとオレンジのような果実の調和。スパイシーでコクがある。
フィニッシュ:温かなオークの甘さとスモーキーさがゆっくり持続する
宮城峡の味わい
香り:リンゴや洋ナシのようなフルーティーさ、甘く華やかな花の香り。樽由来のやわらかなバニラ香
味わい:ドライフルーツのようなスイートさ、滑らかな口当たり
フィニッシュ:麦の甘さ、ほのかなビター感。穏やかな樽香がやさしく広がる。
その他簡単に竹鶴・余市・宮城峡の違いを比較!
竹鶴 | 余市 | 宮城峡 | |
---|---|---|---|
タイプ | ピュアモルト(ブレンデッドモルト) | シングルモルト | シングルモルト |
原料 | 余市 & 宮城峡のモルトウイスキー | 余市のモルトのみ | 宮城峡のモルトのみ |
味わい | バランスの取れた甘みとスモーキーさ | 力強くスモーキーでヘビー | フルーティーで軽やか |
おすすめの飲み方 | ストレート、ロック | ストレート、ハイボール | ストレート、ハイボール、カクテル |
参考文献
今回の記事は下記の本を参考にしております。こちらもチェックしてみてください!
ウイスキーを楽しむ教科書 土屋守
まとめ
本日は竹鶴・余市・宮城峡の違いについてご紹介しました。
✅ スモーキーで力強いウイスキーが好き → 余市
✅ フルーティーで華やかなウイスキーが好き → 宮城峡
✅ バランスの取れた味わいを楽しみたい → 竹鶴
といった所でしょうか。皆様の好みはどれでしょうか?それぞれの特徴を知り、自分好みの一本を見つけてみてください!
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